「香港の生命保険」という資産運用の選択肢
台湾駐在員はじめ海外在住日本人は、日本の金融機関や金融商品を利用した資産運用ができないという問題に直面します。そして台湾や海外の運用を模索すると、香港が一つの候補として浮かび上がってまいります。
香港は、アジアで最も金融が発展した「オフショア地域(金融先進地域)」です。世界トップクラスの金融機関が多く進出・競争している地域で、有利な金融商品も多数ございます。生命保険も例外ではなく、利回りは日本とは比較になりません。最近は保障目的ではなく、運用目的の生命保険商品、いわゆる「貯蓄型保険プラン(Saving Insurance Plan)」が、資産運用ツールとして広く認知されるようになりました。
海外在住日本人の資産運用解決策として、「香港の保険」は間違いなく選択肢の一つになるはずです。ここでは、香港の保険をご検討されるにあたり、おさえておきたいポイントをまとてめてみました。皆様の資産運用の参考になれば幸いです。
香港の保険メリット・デメリット
まずはじめに香港の保険メリットとデメリットです。
メリット① 高い利回り
数字で比較ができますので、最も分かり易いメリットです。下記はサンライフ香港という大手保険会社が発行している設計書(運用予定表)の抜粋です。
商品:米ドル建て貯蓄型保険
支払保険料:100,000米ドル(50,000米ドルx2年払)の場合
経過年数 | 予定解約返戻金 | 返戻率 | 平均年利回り |
---|---|---|---|
10年後 | 140,088ドル | 140% | 3.61% |
20年後 | 279,417ドル | 279% | 5.41% |
30年後 | 550,900ドル | 550% | 5.95% |
貯蓄型保険は、保険会社が債券と株式に分散投資し運用します。運用利回りは年3~6%前後を見込んでおり、日本の同様の保険(年利1~2%)より高い利回りとなっております。
メリット② カントリーリスクの分散
カントリーリスクとは、政治・経済状況の変化によって、その国が保有する資産価値が変動する可能性のことです。日本のカントリーリスクは、少子化リスク、地震リスク、社会保障制度の問題、戦争リスク、財政破綻リスクなどが挙げられます。これらリスクを回避するには、日本の法律が及ばないところ、つまり日本以外の国に資産を持つしかありません。外貨建ての海外資産は、万が一の際に大いに助けになるはずです。
メリット③ 通貨の分散
台湾駐在の日本人は、給与を(全額または一部)台湾ドルで受け取るのが一般的ですので、おのずと台湾に台湾ドル資産、日本に日本円資産を分けて保有されている方が多いです。
一方日本在住日本人は、資産のほとんどが円資産だそうです。円資産しかないと、日本有事の際財産全てを失う可能性もございますし、円安局面は、資産の目減りを意味します。
例えば資産の半分を円資産、残り半分を米ドル資産で保有したとします。すると為替変動しても、一方が減れば一方が増えますので、円高・円安どちらに振れても資産全体はプラスマイナスゼロです。つまり通貨を分散することで、為替リスクの軽減ができます。しばらく使う予定がない資金を、米ドル建て貯蓄型保険で運用しておけば、通貨の分散、更にカントリーリスクも分散でき、そして運用もできます。
では次にデメリットです。
デメリット① 言葉の問題
保険契約書や商品パンフレットは、基本的に全て英語です。香港金融業界の公用語は英語で、日本語訳はございません。契約後の保険会社からの通知、 契約内容や解約返戻金を確認できる運用報告書、保険会社提供のウェブサイトも全て英語です。従って英語が苦手な方には、海外投資は少々ハードルが高く感じられるかもしれません。しかしこのデメリットは、日本語サポートを有する代理店や、サポート会社を介することで解決できます。(弊社はそのサポートを担う会社です。)
デメリット② 情報収集が大変
情報収集はインターネットや書籍に頼ることが多いと思います。インターネットは手軽に情報が得られる点でよいのですが、同じ金融商品の評価も人によって180度違ったりなど、情報の精査が必須です。海外をうたった投資詐欺も後を絶ちません。
海外保険商品の正しい情報は、保険会社が発信するウェブサイトを直接訪問するのが一番です。会社概要も商品パンフレットも英語ですが、全てダウンロードできます。ホットラインにコンタクトしてみたり、メールで問い合わせるのもよいでしょう。とにかく直接保険会社に連絡をお取りいただくのが、最も確かな情報を得る有効手段です。
デメリット③ 為替リスク
運用通貨は米ドルですので、契約時と解約時の為替レートの差異による為替の影響を受けます。
保険会社の選定
香港はアジアの金融センターと言われ、「オフショア」と呼ばれる地域です。「オフショア」の定義は下記の通りです。
・治安が安定しており、法律・制度もしっかりしている(=資産が守られる)
・税金が安い(=運用益が出しやすい)
・金融が発達している(=競争力のある金融商品が多数)
香港の保険業界を管理・監督しているのは、香港保険業監管局(Insurance Authority)という独立機関です。世界が認める金融センターとしての地位・信頼を維持するため、大きな役割を担っています。香港では保険会社が破綻したことは、過去に一社もございません。
とは言え保険契約は、満期まで長期資金を預けることになりますので、信用力の高い大手保険会社で契約するに越したことはありません。歴史がある、上場している、S&P社(スタンダードアンドプアーズ)などのの高い信用格付けを取得している、海外支社を多数出しているなど、一般によく知られている大手保険会社がより安心です。
保険の種類
保険を契約する際の主な目的は、次の3種類です。
1.「保障」:万が一の事故・病気や死亡時に備えるため
2.「運用」:資産を増やすため
3.「保障」と「運用」の両方
マイホームに次いで人生で2番目に高い買い物と言われるのが保険です。 月々の支払いは大きくなくとも、長期では高額な買い物になるのが保険です。目的に合わせて最適な保険を選択することは、豊かな人生を送るためにとても大切です。
貯蓄型保険
運用◎ 保障△
主な用途:個人年金、教育資金、事業資金など
海外在住日本人に最もポピュラーなのが貯蓄型保険です。運用重視の保険で、保険会社が債券や株式に分散投資しながら運用します。
解約返戻金は運用次第で変動しますが、一定期間保有で元本が約束されます。予定利回りは年利3~5%前後を見込みます。
死亡保険金は、払込保険料総額、もしくは被保険者死亡時の解約返戻金のどちらか大きい方ですので、元本割れすることはありません。余分な死亡保障を手配しない分、運用に特化した保険と言えます。(契約者都合による早期解約は、元本割れする場合がございます。)
保険期間中、被保険者や受取人を何度でも変更でき、代々証券を継承(資産継承)できるタイプもございます。
貯蓄型保険は、健康状態に関係なくどなたでもお申込が可能で、80歳までお申込可能な保険もございます。
保険料支払い方法:年払い、半年払い、月払い
保険料支払い期間:一時払い、2年払い、5年払い、10年払いなど
通貨:米ドル、香港ドル
例)
保険料:10,000米ドル/年 x 5年払い
保険料総額:50,000米ドル
経過年数 | 予定解約返戻金 | 返戻率 | 平均年利回り |
---|---|---|---|
10年後 | 62,772米ドル | 126% | 2.87% |
20年後 | 131,065米ドル | 262% | 5.48% |
30年後 | 265,895米ドル | 532% | 6.14% |
死亡保障付き終身保険
運用〇 保障◎
主な用途:個人年金、教育資金、保障手当など
貯蓄型保険に次いでポピュラーなのが、死亡保障付き終身保険です。上記の貯蓄型保険に死亡保障をプラスした保険です。貯蓄保険同様、債券や株式で運用をしますが、死亡保障を約束する分、貯蓄型保険より若干利回りは下がります。それでも日本で販売されている同様の終身保険より高い利回りが見込まれます。
健康体の方は、一定保障分まで告知のみで申込可能です。(例:サンライフ香港は45歳以下の場合、150万米ドルの死亡保障まで告知のみでお申込可能)既往症がある場合や高額保障ご希望の場合は、健康診断が必要となります。 死亡保障にも毎年運用益が上乗せされますので、インフレにも対応できる保険です。
保険料支払い方法:年払い、半年払い、月払い
保険料支払い期間:一時払い、2・5・10・15年払いなど
通貨:米ドル
例)35歳男性・非喫煙者・健康体
保険料:10,000米ドル/年 x 5年払い
保険料総額:50,000米ドル
初年度死亡保障:130,942米ドル
経過年数 | 予定解約返戻金 | 返戻率 | 平均年利回り | 死亡保険金 |
---|---|---|---|---|
10年後 | 40,146米ドル | 80% | - | 164,418ドル |
20年後 | 104,215米ドル | 208% | 4.15% | 244,613ドル |
30年後 | 175,973米ドル | 351% | 4.58% | 320,852ドル |
養老保険
運用〇 保障〇
主な用途:教育資金、期限のある資金運用など
運用目的に合わせて、保険期間と死亡保険金を契約時に決めるのが養老保険です。俗に言う 「学資保険」は養老保険のことです。
満期まで解約しないことを前提に、通常より高い利回りが約束されます。しかし中途解約すると元本割れの可能性がございます。 被保険者が保険期間中に死亡した場合、未払保険料は免除され、指定受取人は決められた死亡保険金を満期時に受取ることができます。
保険料支払い方法:年払い、半年払い、月払い
保険料支払い期間:一時払い、5年払い、10年払い、20年払いなど
通貨:米ドル
例)35歳男性・非喫煙者
保険料:10,000米ドル/年 x 5年払い
保険料総額:50,000米ドル
保険期間:15年
経過年数 | 予定解約返戻金 | 返戻率 | 平均年利回り | 死亡保険金 |
---|---|---|---|---|
10年後 | 56,162米ドル | 112% | 1.46% | 84,357ドル |
15年後 | 84,357米ドル | 168% | 4.09% | 84,357ドル |
保険の申し込み方法
保険代理店もしくは保険ブローカーを介してお申し込みをします。契約内容が同じであれば、どの保険代理店でご契約されても保険料は変わりません。通常パスポートと居留証などの住所証明があれば、お申込ができます。
保険代理店・保険ブローカーの選別
英語があまり得意でない方は、日本語サービスを提供する保険代理店・保険ブローカーがよいでしょう。また破綻リスクも考慮し、できるだけ大手代理店・ブローカーがより安心でしょう。万が一保険代理店・ブローカーが保険契約満期前に破綻したとしても、保険契約そのものに何ら影響はございません。代理店変更手続きをするか、その後の手続きを直接保険会社とする必要はございます。
海を越えて英語でのやり取りは何かと手間ですので、「日本語サービスを提供できる大手代理店」がより安心度は高いと言えます。
まとめ
香港には、魅力的な保険商品が多数ございます。あなたが抱えるお金の問題や不安を解決できる保険商品もあるかと思います。是非一度ご検討いただければと思います。
- 海外保険は、オフショアの大手保険会社で契約するのが安心
- 運用目的を明確にしておく(保障か運用か両方か、そして運用のゴール設定)
- 日本語サービスを提供する大手代理店・ブローカーで申し込む
具体的な商品については、他の記事をご覧いただくか、無料個別相談をお気軽にご利用ください。